« あけました | トップページ | ワークショップ参加 »

2013/01/23

待つ家具

家に帰ったら、家具が、じーっと自分が帰ってくるのを待っていた。

「待つ家具」

ではなく、

タイミングを見計らう、といいますか、時機をみる、といいますか。

ある「寝かせる時間」を設けると、必要としている物の輪郭は

非常に、ハッキリしてくると思っているのです。

衝動的に、バーっと見て、

あ、これ欲しーっ!買っちゃおー!

という買い物もあって、これはこれで当たりの時もあるのですが、

家具は、それとは違う趣きのあるものだと思うのです。

今回、ご紹介させていただく家具は、そんな、

待った家具なんです。

P1090340

キッチンとダイニングの間にあるカウンター。

この下の、あいた空間。

ここを、どうにか有効に使えないだろうか。

市販の棚だと大きさが合わず、

中途半端なもので代用するならば…

ということで、じっくり「どうするか」考えて、結果、

「作ってもらおう」

ということになった、カウンター下の収納棚です。

この、時間をかけて考えていただくことが、

作り手としては本当に、ありがたいのです。

欲しいもの・必要なものは、「すぐに」でも欲しいものです。

でも、時間をかけて、「まだ、買わない」

と、「待つ」ことによって、必要としているものの、かたちは必然を帯びてきます。

左側は引き戸になっていて、右側の「見せる収納」とは違う、隠す収納になっているのですが、

向こう側が、白いですね。

そう、壁なんです。

限られたカウンター下の幅で、最大に取れる寸法(A4サイズが入る)。

この寸法を取るためには、棚の背板があったら、無理なんです(開き戸ではなく引き戸という設計の場合)。

既製品では、まず考えられないことだと思うんです。

お店に並んでいる家具を見に行ったら、あれ?背板がない。

でも、用途(食器は入れないということで)や使用場所、必要とするサイズが、明確になっている場合、

「これが、棚の形だろう」

という固定概念は時にジャマです。

お客様の明確になっている希望を可能な限り、かたちにするのが

手作り・オーダー家具を仕事としている、私たちの仕事だと思うんです。

既成概念のまま、

「棚は棚だね」と、形にしても、

それは、本当にお客様の必要としている家具かどうかは微妙なところです。

また、使う場所を変え、今度は背板も付けてもらいたい。

というご希望であれば、それも可能です。

ただ、形にして、ハイ、それでおしまい。ではないのです。

使っていくなかで、変化していくこと。

修理もそうです。

絶対、壊れない!

なんてことは、無いと思っています。

だからこそ、自分たちで作ったものは、自分たちで責任を持って

長く使っていただけるものとして、見守りたいのです。

私たちは、待ちます。

お客さまの、本当に必要としているものが「なにか」、わかるまで。

-----------------------

家具ちょこメモ・3

【オイル塗装・仕上げ】

お久々でございます。

家具ちょこメモで、ございます。

前回は、「無垢家具」について、ちょこっと説明いたしまして、

その無垢家具の仕上げ方について今回は書いてみようと思います。

というわけで、前回の「無垢家具」について、と合わせて読んでいただけると、より、わかりやすいのではないか。

私たちの伝えたい、「家具」の在りかたではないか。

と思っております。

「無垢家具」については・・・・・・こちら。のブログの下のほうに「家具ちょこメモ・2」があります。

前回、こんな説明をしています。

無垢家具の「無垢の木」の特徴です。

-----------------------

無垢の木は生きています。

湿度によって水分を吸ったり吐いたり。

呼吸をし、伸びたり縮んだりします。

そんなわけで、

急激な湿度・温度の変化を伴う環境では、大きな反りや割れを引き起こすこともあります。

-----------------------

そんな特徴のある無垢の木を生かすための仕上げが、

「オイル塗装・仕上げ」

なんです。

では、オイル、油なら何でもいいのか?

というと、なんでもというわけでもなく、

昔、額縁に台所にあるオリーブオイルを塗ったことがあるんです。

まだまだ若い頃です。

そしたらですね、ちっとも乾かないんです。

いつまでも、ベトベトしてる。

これはダメだ。

と思いましたね。

はい。

ダメじゃないんです。

オイルの特性を知ればいいんです。

オリーブオイル(サラダオイルも)は、不乾性油なんです。

見て読んで字のごとくです。

逆に私たちのお店の家具(木の額縁)に塗っている油は、えごま油

乾性油になります。

また、オイル仕上げというのは、とても薄い塗膜です。

薄いゆえに、木の香りや質感が生きてきます。

これとは反対に、「つるつるピカピカ!」と想像されますウレタン塗装。

こちらはとても強くて分厚い塗装です。

ゆえに塗膜も丈夫で、ガンガン水に濡れても大丈夫。

なのですが、「無垢の木」の呼吸は止められてしまって、素材の質感もラップされた状態です。

-----------------------

たまに、無垢家具のオイル仕上げは自然な感じで、なにもかも素晴らしい。

と、なにもかも讃辞してしまうきらいもあるのですが、

こう比較してみると、やはり、一長一短なんです。

オイル仕上げの家具は、ウレタン塗装の家具と違って

塗膜が弱い。

となると、使い手の方が施す「お手入れ」が、時に必要となってきます。

人間と一緒で、肌がパサついてきたら、オイルを補給してあげる。

濡れたものを、そのまま置きっ放しにしない。

ちょっとした気遣いなんです。

そして、年月の経過、使用状態で、色味もだんだんと深くなってくると思います。

自然のものだから、人間と一緒で、歳を重ねていきます。

お手入れって言うと、大層なことをしなくちゃダメなのか?

と思われがちですが、そんなことはなくて、

私たちと同じように、生きているものとして扱ってもらえれば

木の家具は、私たちと一緒に育っていきます。

ぜひ、暮らしのなかで、育てていってもらいたいなって思うんです。

|

« あけました | トップページ | ワークショップ参加 »

家具」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 待つ家具:

« あけました | トップページ | ワークショップ参加 »